ピアノフレーム サーフェーサー処理 ピアノが語ってくれたもの-その13
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最終更新日:2019/08/15
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ピアノが語ってくれたもの-その13
ウィーン式アクション(ウィンナーメカニック)
Q.ウィーン式の特徴はありますか?
A. ウィーン式アクションにおけるメカニックの動きはモデルアクション等で実物を見ないとなかなか理解できないでしょう。ピアノの発展史で音量増大を求められた結果、現在はイギリス式アクションに道を譲ったとは言え、ウィーン式アクションにはすばらしい魅力もありました。それは例えばストロークタッチでの摩擦抵抗が少ないことです。また、メカニックがシンプルなので奏者は鍵盤のしなりや打音のときの感触をよりダイレクトに感じることができました。当時の調律師はクラヴィコードの整音のように鍵盤の奥を削る事でタッチ感を調整したことと思います。
Q.鍵盤のしなりがより重要になってくるわけですね。
そういえば、南ドイツやウィーンを中心とする地域のピアノ以前の鍵盤楽器はチェンバロではなくクラヴィコードがより多く使われていたようですね。J.S.バッハや次男P.E.バッハは特に好んでクラヴィコードを使用していたそうですが。
A. そうですね。イギリスやフランスがチェンバロ(クラヴサン)を重用したことと対照的です。
クラヴィコードはベーブング(ヴィブラート)演奏ができたり、構造がシンプルなだけに演奏者のイマジネーションをかき立てる要素を持つようですね。欠点は極端に音量が少ないことです。それだけ当時は静かだったのでしょう。
さて、かのモーツァルトが絶賛したアクションでもありますウィーン式アクションに話を戻します。ハンマー自体軸受けも含めて個々の鍵盤に乗っかっていますから面白い効果が出ます。それは、打音の瞬間の弦に当たる部分が鍵盤の沈み具合で変化することです。イギリス式のアクションではハンマーレールに固定されているため接弦位置の変化はほとんどありません。ウィーン式アクションのピアノ(ピアノフォルテ)の演奏者が曲の明暗をつけやすいと話されている理由はこの辺にもあると思われます。ウィーン式にルーツを持つ楽器は鍵盤てこの比率やアクションの形状等、求める音の立ち上がりも含めてウィーン式の音とタッチを求め工夫しているようです。
Q.まず、楽器メーカーの持つ個々の歴史を認識して、主張に素直に耳を傾ける事でしょうね。
A.そうです。その上で、見て、触って、弾いて、聴いて、そして感じてほしいですね。
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以下の文章は(社団法人)日本ピアノ調律師協会 会報No.117・118(2002年)に投稿された文章