ピアノが語ってくれたもの-その31
母音の大安売り
A. 子音と母音がペアになって意味が発生する日本語を聞く耳は子音の後にすぐついてくる母音を聴こうとするリズムを持つわけです。
Q.つまり、すぐに母音を言い換えれば発音の意味を理解しようと聴く癖がある?せっかちな耳なのかな?
A.そうかもしれませんね。せっかちで、よく言えば反応が早いわけです。しかも、一般標準語に母音は5つしかありません。日本語での母音のヒアリングはフランス語等とくらべて比較的素早く判断しやすいはずです。強弱や長さ・高低によって、言葉自体の意味が変わることはないので比較的無頓着(寛大?)で済むわけです。
Q.フランス語の母音は20以上、場合によって、アルファベットより多くなるそうですね。
A. そうですか。そういえば、以前、フランスの女流ピアニストが来日したのですが、「日本の言葉の響きが汚い。」とさんざん文句ばかり言っていました。ところが、彼女が東北を旅行し、東北弁を聴く機会に恵まれたのです。彼女は「日本にもいい響きのことばがあるじゃないか。」と喜んでちょっと安心して帰国したそうです。実は私も山形や岩手で「ンギィ?」の響きにはゾクっとさせられます。また、津軽弁に触れるとそのリズムと響きにとても感動します。意味の多くはほとんど理解出来ませんが。(笑)