ヨーロッパピアノ 音色が変化する面白さ

ケルン大聖堂内部5・ピアノの織りなす音色とは
 ヨーロッパで作られたピアノは、弾き方や感情移入で様々な音色を引き出すことが出来ます。音色とは音の色と書くように、色合いや濃淡をコントロールすることにより、立体感や遠近感を演出することの出来る、音楽を創る上で非常に重要なファクターとなります。
 音色の変化に富んだピアノは、例えていうならパレットに載せられた絵の具の色が多いということです。もしパレットに白と黒しかなければ、白、黒、灰色3種類の色しか作ることが出来ません。しかし赤、青、黄色といった絵の具がそのパレットにあれば、紫、黄緑、ピンクetc…多彩な音色を奏でることが出来ますし、だからこそ、移り変わり易い人の心の微妙な変化までも音に還元することが出来るのです。

ベルリン

ベルリン

・音色が変化するピアノとは
ではそのように音色が変化しやすい楽器とはどのような楽器でしょうか。大前提となる要素は「音色のコンセプトを持っている楽器かどうか」ということでしょう。音色とは非常に感覚的で個人の感性にその良し悪しが左右されるもの。ヨーロッパメーカーには確固たる音色への執着があり、その音色の実現を通じてピアノを弾く楽しさを最大限まで高めたいという思想があります。だからこそ弾き手とメーカーの設計思想が合致した時、ヨーロッパピアノは弾き手にとって他では得難い感動を感じることが出来るのです。

SN3M0006・ピアノの音色が変化する楽しさ
ヨーロッパメーカーの多くは、目指す音色のコンセプトにより基本的な音の方向性がメーカーごと確立されています。その方向性の中で強弱やタッチコントロールにより音色が変化していきます。例えばベヒシュタインはクリアな響きという全体的な印象の中で、各音のハリをコントロールすることにより、音楽に立体感をもたらします。試しに一音をppからffにクレッシェンドしてみてください。mfあたりから徐々に煌びやかさが加わっていくのが分かると思います。輝かしい倍音を含む音と含まない音のコントロールにより、声部ごとに響きの段差をつけ、音楽をより立体的に躍動感あるものに演出することが出来ます。
 ヨーロッパピアノが弾いていて楽しい楽器であるというのは、音色を操りながら音楽を作れる楽しさ故なのかもしれません。

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