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『ベヒシュタイン技術者の会』に向けて ベヒシュタイントーンシリーズ Vol.1 ピアノの最低共振周波数;f0(エフゼロ)

ベヒシュタイン技術者の会に向けて

ベヒシュタイントーンシリーズ Vol.1
ピアノの最低共振周波数;f0(エフゼロ) 
ピアノパッサージュ株式会社 ピアノ調律師 尾崎正浩

f0(エフゼロ;第0フォルマント)とは、その物体が発生することのできる最も低い固有振動周波数で単位はHz(ヘルツ)です。楽器も含め形あるものにはすべて存在し、同じ材質形状ならば小さければ高く大きくなれば低くなります。
ヴァイオリンやチェロ等のf0(エフゼロ)によって起こるとされる『ヴォルフトーン』と呼ぶ現象は比較的有名です。
ピアノの場合、その最も大きい振動体である『響板』によって決定されるそうです。
響板の厚みや形状、材質や比重により多少の違いがあっても、より大型ピアノのほうがf0周波数は低いことになります。
ところで、ピアノは奥行3メートル近くに及ぶコンサートモデルでさえ最低音から1オクターブ位は、実際には第1部分音(基音)が発生していないそうです。
1A(A0)のKey、周波数約27.5Hzを出そうとすると奥行が6メートルくらい必要となるそうで、f0周波数はコンサートグランドピアノで50Hz前後、奥行180cm位では100Hz前後だそうです。
100Hzといえば23G((G2)あたりのKeyになるでしょう。
この場合の23G((G2)の部分音構成の特徴は、弦インハーモニシティーの影響が『特に第一部分音(基音)において少なくなる』ことです。
理由は『響板f0』周波数と弦振動が同期(一緒に振動)するので、特に駒位置での弦の屈折がほとんどないからだそうです。
『響板f0』に同期したKeyの音像は比較するとちょっと『うつろ』な感じが多く、立ち上がりがゆっくりで、遅れてブオンとボディー全体が震える感じです。
グランドピアノなら前かまちか腕木に、アップライトなら親板か腕木に手で触れながら低音部をフォルテで打鍵し、その振動でビリビリするKeyがあることで推測できます。
響板構造もそれほど単純ではないでしょう。低音弦が多くの部分音を有することで、部分音の影響が出て影武者が現れる場合も多々あります。
2音間にまたがるものや、複数Keyに飛び飛びで感じられる場合もあります。

ピアノの最低共振周波数はそれぞれのピアノの個性に大きく影響します。
そして、形あるピアノは出発点(エフゼロ)の位置によって『白鍵属と黒鍵属』に分類され、実はそれぞれのKeyの音量や音色に影響を与えているのです。

『響板f0』測定結果表
黒鍵は#表記 ピッチ442Hz
グランドピアノ 
No.  メーカー 機種 奥行cm 製造年 外装 鍵盤形状 f0 KeyNo. ()内影武者
1 ベヒシュタイン  D-282  282 新品 PE黒艶出 B? 14A# 黒鍵属
2  ベヒシュタイン  D-280  280 2008 PE黒艶出 S 11G 白鍵属
3  ベヒシュタイン  EN 280 1984 PE黒艶出 S 11G 白鍵属
4  ベヒシュタイン  C-232  232 1994 PE黒艶出 S 17C# 黒鍵属
5 ベヒシュタイン  C 221 1979 PE黒艶出 S 19D# 黒鍵属
6  ベヒシュタイン B-208 208 1999 PE黒艶出 S (17C#)19D# 黒鍵属 
7  ベヒシュタイン B-203 203 1913 PE黒艶出 S 18D 白鍵属
8  ベヒシュタイン V-200 200 1891 PE黒艶出 S 22F# 黒鍵属
9  ベヒシュタイン M-180 180 1970 PEマホガニー艶出 S  22F# 黒鍵属
10  ベヒシュタイン M-180 180 1971 PEマホガニー艶出 S  (17C#)24G# 黒鍵属
11  ベヒシュタイン M-180 180 1978 PE黒艶出 S  (21F) 23G 白鍵属
12  ホフマン T177 177 新品 PE黒艶出 B 22F# 黒鍵属 
13  ベヒシュタイン L-165 165 1927 PU黒艶消 S (23G)24G#(25A) 黒鍵属 
14 ベヒシュタイン L-165 165 1927 LP黒艶消 S (18D) 25A 白鍵属
15  ベヒシュタイン B160 160 新品 PE黒艶出 B 22F# 黒鍵属 
16  ベヒシュタイン A160 160 新品 PE黒艶出 B 23G 24G#
17 ベヒシュタイン A160 160 新品 PEマホガニー艶出 B 23G 白鍵属
18 ベヒシュタイン  K-158  158 1991 PE黒艶出 S  30D 白鍵属
19 ベヒシュタイン  K-158  158 1992 PEマホガニー艶出 S  29C# 黒鍵属 
20 ベヒシュタイン S-145 145 1935 SHマホガニー艶消 S 28C 白鍵属
アップライトピアノ 
  メーカー 機種 高さcm 製造年 外装  響板形状 F0 Key ()内影武者
1  ホフマン  128  128 新品  PEウォルナット艶出 S  21F 白鍵属
2 ベヒシュタイン コントア118 118 新品 PEマホガニー艶出 B 23G 白鍵属 
3 ベヒシュタイン ミレニアム 116 新品 PE黒艶出 B 23G 白鍵属 
4  ベヒシュタイン A114 114 新品 PE黒艶出 S 26A# 黒鍵属 
5  ベヒシュタイン A114 114 新品 OPウォルナット艶消 S 22F# 黒鍵属 
ポリエステル;PE ポリウレタン:PU オープンポア;OP シェラックニス;SH ラッカー;LP   
響板クラウン形状 円筒形(連峰型);S 球面形(独立峰型);B
あくまでも個人的な計測結果なので参考程度にお考え下さると幸いです。

次回は弦振動の屈折によるインハーモニシティーの発生とテンションによる音色(透明感と緊張感)の違いについて考えていきたいと思います。ありがとうございました。

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