工場見学 ペトロフピアノが出来るまで
ペトロフピアノがなぜ、短期間にこれだけの進化を遂げたのか?
ピアノ製作のキーポイントとは何か?を探りながらピアノ作りを見ていきましょう。
発音体の弦は鋼鉄!そのテンションを支えるフレームはねずみ鋳鉄です!
そして、弦をたたくハンマーはフェルト!
弦の振動を拡大して大きくまろやかな音にする響板やボディは木ですね。
この3つが合わさってピアノが出来ます。その姿を順を追ってみていきましょう。
まずは木の部分を見ていこう。
写真は木材の人工乾燥室
ヨーロッパの気候の中で数年(場合によっては十数年)の間自然乾燥を終えた木材は、この乾燥室で一ヶ月間過ごします。
ピアノになるための最終減量なのです。含水率は7%まで下げられます。
この人工乾燥は電磁波でいっきに短期間で行う方法もありますが、ピアノの音色を美しく長期間保ちたいペトロフ工場では室温を50度C以上にはしないで一ヶ月間行います。
ピアノの響板になる部分の板をはぎ合せているところです。
このように長方形の板を10数枚接着することで大きな響板を作り上げるのです。
アップライトの響板です。響板に響棒と呼ばれる補強棒が接着されて乾燥されているところですね。
グランドピアノも見てみよう。グランドピアノの側板、外リムとも呼ばれます。
ペトロフの場合べーゼンドルファーピアノと同様に板に切れ目を入れて曲げていくタイプもあります。
グランドピアノの響板です。
内リムと響板が組み合わされたところ。
ピアノの心臓部でなんだか「中身!!」って感じがするでしょう。
外リムと内リムが合体したところです。
ピアノの木の響きを決定する部分が出来上がりました。
次に鉄の部分を見てみよう。アップライトのフレームと呼ばれる鉄骨部分です。
ピンやアグラフを打つ穴をあけられ、金粉で塗装されます。写真はアグラフと呼ばれる弦を通す部分を打ち込んでいる様子です。
写真がアグラフ。
真ちゅう製で中高音部は3つの弦を通す穴があいています。低音部は2穴と1穴タイプがあり、アップライト総アグラフタイプはペトロフの特徴でもあります。
ペトロフは音の透明度が高いといわれる理由もここにあるでしょう。
弦を巻きつけながらチューニングピンを打ち込んでいるところです。
鍵盤数は88本ですが、200本以上のチューニングピンが打ち込まれます。
グランドピアノも見てみよう
グランドピアノのフレーム(鉄骨)は鋳物でできています。
まずは穴あけ作業。
次にさび止め塗料(サーフェーサー)を吹き付けたところです。
乾燥後、サンドペーパーで磨かれ、でこぼこがきれいになります。
金粉とクリア塗装が施され、アグラフ、ヒッチピン(奥の弦を引っ掛けてUターンさせるところ)が打ち込まれ、ペトロフのロゴの装飾メダルが付いた所です。
弦を張っているところ。
ピアノには金属も重要な材料なのですね。
最後にフェルト!フェルトのハンマーで弦をたたいて音を出すのがピアノです。
ハンマーはアクションと呼ばれるメカニックの一部分になります。
グランドピアノアクションの製作過程のチェックリスト。各部署のマイスターのサインがあります。
各マイスターが調整・チェックして、最良のピアノアクションは制作されるのです。
マイスターがハンマーヘッドをファイリング(接弦部分表面を軽く研磨)しているところです。
ピアノのハンマーは針刺しやファイリングの整音作業によって初めてピアノ本来の発声を持つことになります。
この作業は一音一音確かめながら慎重に行われます。
ピアノは8000以上の部品が集合して作られます。
一つ一つが音のことを考えて組み立てられなければいけません。
そして、フェルトや木を安定させ信頼できるメカニックにするために調整や試弾されます。
白鍵の深さをチェック・調整しています。
試弾機による弾き込みのスナップです。大きな音が出るので、ピアノの弦の上にミュートを乗せて試弾機にかけます。
このように、組み立て完了の後も、シーズニングされピアノ調律や再調整を繰り返します。
ペトロフピアノは東京では正規代理店「ピアノ・パッサージュ株式会社」で販売メンテナンスしています。
素敵なピアノを作ってくれたチェコの皆さん。
本当にありがとう!心をこめて蘇る夢のロマンティックトーンを奏で続けていくことでしょう!
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