ピアノが語ってくれたものシリーズ ピアノの響板特性とハーモニー調律 その15 ミネラル成分の存在意義
ピアノが語ってくれたものシリーズ ピアノの響板特性とハーモニー調律 その15
ミネラル成分の存在意義
ピアノはメーカー、設計、大型、小型にかかわらず多かれ少なかれ『響板インハーモニシティー』という特性(個性)が必ず現れる訳ですから、それを理解して味付けや魅力を残しつつ修正する作業は『ピアノ調律師』の領分になるのでしょう。
それは、一般的に音量音色を整える『整音』(せいおん)という作業に総称されるわけです。
メーカーの研修等ではヴォイシング(ハンマーの針刺しや硬化剤処理)やファイリング(ハンマー整形)等の作業が主になりますが、経年変化した使用中のピアノでは、それ以外にも多くの細かい一つ一つの作業が重要になってくる訳です。
例えば、ハンマー自体の重量やシャンクとのバランス。
弦とブリッジや駒との接地状態。
弦の状態など。
もちろん、調律や整調もかなりの比重でかかわってきます。
『響板インハーモニシティー』の特性を考慮することで、我々はこの不揃いの発生原因をそれぞれ分析し原因追究した上で調律や整調作業その他の作業を微修正しながら進めていくことが醍醐味でもあり技術の見せ所でもあるのでしょう。
ピアノってとても奥が深いものだと思います。
『人生の偉大なものは一見単純である』
私の好きな言葉です。
一見単純に見える自然界の水や大気の成分もミネラルやエアロゾル等が微量に存在することで安全かつ安定しているのだと言われています。
ピアノ音楽の音色やハーモニーが世界中の多くの人々に支持され、永く愛され続けている理由の一つは、鍵盤システムや打弦構造というアクションメカニズムもさることながら、一見単純そうに思える弦振動に『弦』及び『響板』の『インハーモシティー』(不協和性)というミネラル的副産物が極微量含まれ、その構造体(駒ピンの状態;後述)によって唯一無二の異なる表情を見せるからと思えるのです。
ピアノの音は
『自然界の摂理を人類が具現化(具音化)したもの』
かもしれませんね。
ちょっと脱線しました。話をもとに戻しましょう。
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