ザウター グランドピアノ 音色の魅力 輸入ピアノ SAUTER
■ザウターの歴史
ザウターはヨハン・グリムによって1819年に創立した現存する最古のピアノメーカー。それから現在に至るまでザウター一族が世襲し、かつての華やかでロマンティックな時代を現代へと受け継いでいます。
グリムは、ベートーベンが全幅の信頼を寄せていたフォルテピアノの製造技術者であったシュトライヒャーのもとで、ピアノ製造技術を学んでいました。
ピアノ製造流派は「イギリス・フランス派」「南ドイツ・ウィーン派」に分かれ、前者は主にチェンバロが主流だった地域で、後者は主にクラヴィコードが主流だった地域で発達した流派です。チェンバロは比較的大きな音を出せることから、イギリス・フランス派のフォルテピアノは頑丈で豊かな音量を出せる傾向の楽器を指向していました。クラヴィコードは音量は小さいものの強弱やタッチによる微妙なニュアンスの変化を付けられたことから、南ドイツ・ウィーン派のフォルテピアノも繊細な表現力を持った楽器となりました。現代に残っているほとんどのメーカーのルーツはイギリス・フランス派で、南ドイツ・ウィーン派で現存するメーカーはベーゼンドルファとこのザウターだけです。
■シュトライヒャーとベートーベンの親交
シュトラャーとベートーベンの親交は、残された数々の書簡が物語っています。
「親愛なるシュトライヒャー!
昨日君のフォルテピアノを受け取った。実に素晴らしい楽器だ。他の人であれば決して手放そうなどとは思わないだろう。しかし僕は-君は大笑いするかも知れないが-この楽器は僕には出来すぎた楽器だ。その理由は,僕自身の音を作る自由を僕から奪ってしまうからなのだ。しかし,勿論これは,君が作ろうとしているフォルテピアノを否定するものではない。(抜粋)」
「親愛なるSt(シュトライヒャー)よ,僕が自分のトリオをきいて満足したのは正直に言ってこれが初めてのことだ。また,この経験から,僕はこれまで以上にピアノフォルテのための曲を作ろうと決心した。たとえ僕を理解する人がごく僅かしかいないとしても,僕は満足だ。演奏の仕方という点に関する限り,ピアノフォルテがあらゆる楽器の中で最も研究が遅れ,未発達であるということは疑いない。ピアノとハープを聴き間違うというようなことはしばしばだ。ハープとピアノフォルテが全く異なる二つの楽器として扱われる日が来ることを僕は望んでいる。(抜粋)」
このように、ピアニストとピアノ制作者(この当時はフォルテピアノ)はいつもこのような対話や議論を繰り返しながら、作曲家の求める鍵盤楽器の理想を追求していったのです。ヨーロッパピアノに個性があるのは、制作者が交流していた音楽家によりメーカーの特色が浮き彫りになったからとも言えます。
■ザウターの音色
南ドイツ・ウィーン派のフォルテピアノはクラヴィコードという繊細な楽器をルーツとしています。ここでクラヴィコードを簡単に説明します。クラヴィコードの発音原理は、鍵盤を押すとシーソーの向こう側にあるタンジェントという金属片が弦にあたり、接弦している間だけ音が出ます。音量は大変小さく演奏会での使用は困難です。しかし接弦中に鍵盤を押し込むとビブラートの効果を得られたり、小さなダイナミックレンジながら音量の強弱を付けることが可能です。フォルテピアノはチェンバロの最大の欠点だった音量のコントロール性を改善したわけですが、この流派のピアノ制作者のシュタインが開発したアクション機構「ウィーン式アクション」は「イギリス式アクション」に比べ格段にタッチの微妙な変化を音に変換できる繊細なものでした。
このように繊細な表現力に大きな魅力のあった南ドイツ・ウィーン派の流れを汲んだザウターは、やはりモダンのピアノの中にもその響きの片鱗が息づいています。
高音部分は煌びやかなのに決して派手ではなく落ち着きがあり、最高音部までその気品が感じられます。また、低音から次高音までは音色こそピアノですが、音の輪郭はクラヴィコードに通じる端麗さがあります。クラヴィコードはチェンバロに比べて演奏される機会も少ないのですが、古楽器奏者によるレコードもありますのでご興味のある方は聴いて頂くと参考になるかもしれません。大塚直哉さん演奏によるバロック曲集は録音の状態も大変良いのでオススメです。
弾き手をより輝かせ、よりエレガントに見せるザウター。ショールームにはグランド、アップライト両方ご用意しております。ヨーロッパピアノの中でも特別な歴史を持つこのピアノの音色を、是非お楽しみください。
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