ピアノが語ってくれたもの-その34
アナログ的ピアノ製作
Q.ところで、ピアノ製作の現状は悲観的な意見も聞かれますね。前に触れましたが、酸性雨や大気汚染の影響でピアノの材料が以前ほど良くないなどと・・・。
A. 「おいちゃん!それをいっちゃぁおしまいだよぉ。」・・・
(ここはフーテンの寅さんふうに言いましょう・・・?)
確かに。1890年頃から1930年代の前半のピアノの多くは基本設計の善し悪しはあるとしても、気合いが入って製作されていますよね。アナログ的ピアノ製作のピークの時代とも言えるでしょう。
実際私が修業時代に勉強のために手にいれたピアノはスタインウェイのA-188で、1908年製でした。その後ベヒシュタインのL-165を購入したのですが、これが1927年製。価格が新品より安いこともありました。
この20世紀初頭におけるピアノ産業は、国家の威信や技術レベルを示すバロメーターを意味し、産業の花形であり、最先端でもありました。ピアノのためだけに、もしくは、最優先に準備されたフェルトや鉄などの材料を手に入れられたのも事実です。
しかし、昔は良かっただけの考えはピアノ製造をハード面だけの一元的な捉え方に感じませんか?
人類には知恵と反省と「求める音」があります。少なくともピアノ製作を文化そのものととらえて大陸的発想を続け、音楽を理解するヨーロッパ人は認めないと思いますよ。彼等は今でも努力(レンガ)を積んでいるわけですから・・・。仮に戦争で中断したり壊されても改修しながらね・・・。
Q.とにかく、前進をあきらめちゃいけないってことでしょうかね。