ピアノが語ってくれたもの-その36
整音とは「発声法」
Q.スタインウェイの整音イメージとは?
A. なかなか、言葉で伝えることは難しいですね。調律のところで出てきた言語リズムがまず違いますね。整音のことを「イントニエレン」とか「ヴォイシング」とか「ニードリング」とかいろいろ呼び方があるようですが、作業のコンセプトから感じるところでは「発声」が近いと思いますね・・・。
そういえば、イメージを感じた日からほどなくでした。
社団法人 日本ピアノ調律師協会主催の技術研修会で整音の研究会に参加する機会がありました。講師の方は、スタインウェイ整音マイスターから直接方法論を学んだ方でした。研修内容は国産のグランドピアノに新しい国産ハンマーを取付けてスタインウェイ社の整音方法を再現することでした。作業は第1整音から進んで行きました。昼休みの休憩時間となり、私はピアノに近付き講師の作業された部分の音(ミドルのd-moll)を鳴らしたその瞬間!!!まぎれもなく自宅のスタインウェイで感じたイメージ通りの発声でした。いや~うれしかったですよ。ボディから出る音は量産型のピアノで、音色の違い、ダイナミックレンジの限界は感じました。弦設計がスタインウェイに近いこともありましたが、出だしの音はまさしくスタインウェイの発声を持っていましたね。あの時感じたことは正しかったんだ・・・。今度は一週間ほど雲の上を歩いてました。(笑)