ピアノが語ってくれたもの-その24
なんたるのんき?
Q.二つ目の価値観は?
A. もう一つは気の長~さですよ。ヨーロッパの歴史的建造物には、140年作り続けて、まだ、未完成とか?完成まで休み休みで600年かかったとか?・・・平気で堂々とおっしゃっている建物がありますね。最初に基礎工事をした職人も親方も設計者も寄付をした人々も、もうこの世にはいないはず。なんたる非効率。なんたる怠慢?なんたるのんき?(笑)
Q.今日の日本では、西洋に学び追いつけで、効率を上げて結果を急ぐばかりに忘れていた感覚ですかね?
A. まあ、これは、私なりに考えると「西洋的個人主体ボランティア型発想」と「日本的権力者トップダウン型発想」の歴史的背景の違いとも言えるかもしれません。というのは、日本にはご存じの様に世界に誇れる建造物が多く残されています。しかし、その多くは時の権力者が一代で築き上げたものじゃないのかな?「わしの目の黒いうちに完成しろ!」とね。未完成でも二代目権力者が意志を継いで完成とかね。
Q.確かに、権力者の立場に限らず、下っ端の大工見習いだったとしても、やっぱり、生きているうちに完成した姿を見たいのが人情ってもんですよね。
A.そうでしょう。正直見たい。だから、私にとってはヨーロッパ人と接したとき、新鮮な感覚だったわけです。
「完成しなくても良い?」「結果はすぐに求めない?」
??このドイツ人は、本気で言っているのかな?と疑ってしまいました。(笑)