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ピアノ製造番号の色々 ピアノパッサージュ株式会社

ピアノ製造番号の色々

一般的にピアノの製造番号はその名の通り製造された時にそれぞれのピアノに付けられる製作番号で同じく生産台数を表すと思われています。
しかし、歴史が古いがゆえに資料が残っていない場合もあったりして、本当のところはっきり分からない事も多いのが現実のようです。
また、メーカーによってもそれぞれ考え方が多少異なっているようです。

まず製造番号の場所から探っていきましょう。
1・響板の表や裏のどこか
2・鉄骨フレーム上(多くはチュー二ングピンの近く)
3・親板や側板の内側
4・ピン板や背板
5・記載なし(記入しなかった・消された・修理時再記入忘れ等)

そして明記方法ですが、
1・打刻印
2・手書き
3・数字印刷シールやスタンプ
4・テープライター等
5・フレーム埋め込み
等様々です。

ここで、世界3大メーカーについてお話します。

1・ベーゼンドルファー
ベーゼンドルファーの場合は響板に刻印されています。
3大メーカーの中で生産台数が最も少ないベーゼンドルファーは響板上に2つの番号があり、左の番号は工場ロット番号で次が製造番号になります。
響板に刻印されるという事は響板製作時に付けられるので生産年とほぼ合致します。また、響板を交換又は部分を削り取る以外には消える事はありません。近年はフレーム上にシールにて明記されるようになりました。

2・スタインウェイ
スタインウェイはフレーム上に手書き近年はシールにて明記されます。ご存知の通りスタインウェイはアメリカとドイツで製作しているために事前に年間の番号の分配を事前に取り決めます。スタインウェイの番号はこの振り分け作業の為~568000のように切りのいい番号から表記されています。番号に余裕をもって振り分けるので毎年それぞれの工場では永久欠番が発生します。つまり実質生産台数は製造番号より若干少なくなります。

3・ベヒシュタイン
ベヒシュタインも同じくフレーム上に手書き近年は数字スタンプ印刷にて明記されます。
工場ではロット番号で管理されるため完成時には製造番号は付いていません。
製作現場では生産数が少ないレアモデルや特殊モデル等の注文があった場合、リスクやコスト軽減もあって単体で製作することはまれで、2台以上並行して製作することが多いようです。そうなると1台を出荷してもう1台は倉庫でシーズ二ングされながら出荷を待つ事になります。

近年ベーゼンドルファーやスタインウェイも数字印刷シールで明記されるようになりましたので、このシステムを採用しているのかもしれません。
発注を受けて製造番号を明記したモデルがキャンセルになったり差し替えで異なるモデルになったりすることもまれにあります。この場合もう一度倉庫に戻る事になり工場ではこれが1番困る訳です。

そしてお客様の手元に届くまでに販売店ショールームでの展示期間があります。
高価な一流ピアノはお店に搬入調整後お客様に実際に試弾してもらいご購入を検討して頂くわけですが展示してすぐに売れるとは限りません。場合によって1~2年後に販売となるケースも出て来ます。ここで困ることは販売店で新品として販売しているのにもかかわらず、工場で調べると1~3年前の製造番号であったりする可能性が出てくる事です。
そこで、それらのトラブルを未然に防ぐこともあり、ヨーロッパ的紳士協定なのかメーカー側は5年間位は製造番号と製造年を具体的に公表しない暗黙のルールがあるようです。購入者の出会いの喜びや夢を壊すようなことはしない方がいいという考え方なのかもしれません。
2020年にお店で素敵なピアノに巡り合って気に入って新品で購入したピアノがメーカーに問合せたら「2018年です。」などと野暮なことを言われたら場合によっては気を悪くしますよね。

販売店としては人件費をかけてピアノの手入れを行い展示のためのスペースも確保する訳で原価は見えない形で上がっていきます。
しかしある意味ありがたいことですが、一流ピアノは電化製品や家具選びと明らかに異なる部分も考えられます。
自然素材を生かしながら制作されたピアノはホッカホカの出来立てよりしばらくショールームに展示して初期変化を修正し繰り返し手入れを行った個体のほうが納品後も安定もしていて発音も良い傾向があり評価が高い場合が多く見受けられます。もちろん、それにはショールームにおけるしっかりとした技術メンテナンスと温度湿度管理が重要になってきます。

私はドイツ一流ピアノ会社社長の熱い言葉を今でもよく思い出します。
『当社最大のライバルは当社の中古だ。』
『当社のピアノは販売後20年くらいまでは中古と呼んでもらいたくない。なぜなら、新品より良い音がするのは当たり前だからだ。』
これらの話を裏付けるように、ピアノに精通したドイツの音楽大学プロフェッサーが新品ピアノを購入する際に、販売店に出向き同じ機種の選定で一番長く展示してあるピアノを教えてもらい、ろくに試弾もせずにそのピアノに決める事もあるくらいです。メーカーと販売店への厚い信頼があるから出来ることかもしれません。

ヨーロッパではこれらを踏まえて伝統のあるピアノメーカーにおいて製造番号と製作年についてはあまり神経質に考える事はなく、5年位の幅でとらえる考え方が主流のようです。150年以上、人の一生より長く使用し続ける事の出来る楽器なのですから当然の事なのかもしれません。

そのピアノの個性や本質を知るためには『エイジング』つまり、心地良い『時間の経過』も重要な要素になり得るわけです。

中古ピアノなどの場合、製造年が購入者と同じ年生まれ等と巡り逢い的な要素はあるかもしれません。
また、例えばスタインウェイの場合、1960年代の製作に限るとか製造番号37~40万台がいいとか真しやかに語られていた時期も過去にはありしました。
しかし、ピアノは使用環境や調律師の技術、所有者の管理状態によっても品質が大きく左右される事が多く、まるで生き物のように繊細な部分もあります。ただ単純に製造番号や製作年で評価しにくいのも事実です。
ワイン等とは異なりピアノは1~2年の製作年の違いによって価値が著しく変化する事は無いと思われます。

国産の量産型メーカーで新製品開発プロトタイプに製造番号を明記しないで販売されたピアノもたまに見受けられます。
また、とあるメーカーでは昭和54年8月1日の3台目の完成品だったとしたら製造番号を54080103と明記するピアノも存在します。
これはこれで一目瞭然だし、誤解もなく分かりやすいですけどね。
本当にピアノの製造番号は様々ですね。
場合によってはメーカーでさえも本当のところはわからない場合もある訳です。

ストラドヴァリやアマティに製作番号は明記されていたのかしら?

ピアノの製造番号はあくまでも目安と考えた方がいいようですね。
製造番号は個々のピアノの購入者や素性を確定出来る情報になる場合がありますから、場合によっては所有者の個人情報となる可能性も考えられます。
コンサート会場やサロン、ショールーム等で所有者の承諾無く製造番号の撮影や発信には気を付けるようくれぐれも心がけましょう。

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