アフターケア
鍵盤の高さ調整は紙パンチングと呼ばれる薄い紙を出し入れして88の鍵盤を均一の高さに調整します。
紙パンチングは通常0.05mmから1mmくらいの6種類くらいの厚さがあり、組み合わせで調整をします。
ちょっと原始的ですね。紙の硬さや枚数でも音色やタッチが変化しますから、出来ればなるべく同じ条件にしたい所です。スタインウェイにはメーカー指定の紙パンチングを使います。
ピアノの中高音は3本の弦を同時にハンマーがたたきます。
3本の弦とハンマーの接触を同時にすることはピアニシモの音は、はっきりと通る音になり、フォルテの音色は割れにくく響く良い音になります。ダイナミックレンジも広がります。弦やハンマーの寿命にも影響し、とても重要な作業です。写真の様にハンマーを持ち上げ、弦に接触させ弾いて当たり具合を確認しながら作業を進めて行きます。アプローチは弦を調整する方法とハンマーを調整する方法があります。
以前は鹿皮等を巻いて作っていたハンマーにフェルトを採用したのはフランスのパープでした。フェルトはニードリング(針刺し)によって疎と密を作り出すことが出来ます。フェルトは接弦時間をひとつひとつ調節したいピアノのハンマーとして非常に優秀な材料でしょう。
整音は針刺しやファイリング(サンドペーパーでハンマー形状を整える)及び、同時打弦と調律チェックの作業を一音ずつ確認しながら進めて行きます。ハンマーフェルトの緊張具合はひとつひとつ微妙に違いますから、それを感じながら求める音に最も効果的な針刺しの場所と深さを検討しながら慎重に作業します。作業の前に鍵盤やアクションの整調は整っていること、調律は合っていることが必要です。『求める音』と経験が重要です。
ピアノのメカニックであるアクション。演奏者がたよりにしている魔法の道具の要。300年の歴史の中で洗練されてきた美しいフォルムです。
木と皮とフェルトを多用した精密機械で、多くのてこやからくりが連携しながら存在してます。
実に面白くきれいなものです。
白鍵の始動時に必要な重量は48gから55gくらい。
低音側から高音側にかけて少しずつ軽くなる楽器が多いです。メーカーや機種によっても多少違います。以前は非常に重い楽器も見受けられました。摩擦部分のひっかかりやアクションのスティック(湿気などによる動作不良)によってもばらつきが出ます。
鍵盤の深さは9.75mmから10.5mmくらい。だいたい1cmってことですね。各メーカーや機種でも指定寸法は多少違います。弾く人の好みやピアノアクションの状態によっても変更します。パンチング紙を出し入れすることで調整しますが88の鍵盤を均一にすることが弾き手にとってとても重要です。
フランスはエラール社の発明とされるダブルエスケープメント。この機能の要となるのがレバースプリングですね。この強弱によってレピティション機能(連打能力)や演奏者の出す音色まで変化します。
ドロップスクリュー調整はピアニシモのタッチ感や演奏者の出す音色まで変化します。
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