国立音大の調律科卒業生の有志からなる、ピアノ技術の研究会があった。
会の名称は「国立・楽器技術研究会」通称K.G.K.と呼ばれている。事務局は国立音大だ。
会員は300名くらいだろうか。
ここでは、年に2回くらいの技術研究会を行っている。
今回のテーマは「ジョンケージとプリペアードピアノ」であった。
そういえば、26年前に同音大の大学院生の研究テーマとして実際にプリペアードピアノ作成をお手伝いした事があった。当時はプリペアドピアノは一般的に知られておらず、また、ジョンケージの指示もインチスケールのため少々苦労したのを思い出した。
ピアノの弦に物をはさんで部分音を強調したり、打楽器的な音を出したりする。
とても不思議かつ新鮮な経験であり、ピアノの可能性の新たな発見だった事を思い出す。
当時から、ピアノ本来の使い方では無いとかで、賛否両論がある。また、以前はピアノをいためた使い方をした心ない演奏者もいたため、ホールやピアノレンタル業者からは今も敬遠されがちだ。
しかし、調律のプロとしての経験知識としては、知らないより知っていた方が良いと思う。休憩中にピアノを弾かせてもらっている所を実行委員にパチリと撮られてしまった。
今回、弟子も連れて行き、見学させた。めったにないチャンスで、百聞は一見に・・・である。経験に勝る指導者はいないからだ。弟子にも弾かせた。弟子は同音大調律科卒ではないが、K.G.K.は快く参加させてくれる。
文化継承や技術伝承の教育現場に国境や縄張り意識は必要ない。ただ、何よりも双方の熱意があれば良いと思う。