マエストロ 降臨!?
誠に不思議な体験をした。
マエストロ堀が笑っていたようだった。
ベートーベンのソナタチクルスも最終日で会場の市川市文化会館でコンサート調律をしていた私は、ふとした遊び心で今までの平均律とは違いベルクマイスター風の古典調律をやってしまった。
とはいっても8分の1くらいだから、そんなに過激ではないのだが・・・
古楽器の調律をされている方はご存知のことだが、この時期は温度変化と乾燥で楽器がどんどん変化する。この日は中低音が直前まで下がってしょうがない。
リハーサル後にすぐ開場。お客様が入場する中、最後のチェックと調律だが、時間的に割り振りをチェックする余裕と静寂は無かった。a4付近の音階を基準に低音に向ってオクターヴをあわせていった。経験上、それが最善の方法だからだ。
出来上がった音階をチェックしてビックリ!!
ほぼキルンベルガー系の音律になっていた。この日の最終曲目はベートーヴェン・ソナタ32番であり、CDur終止なのだ。
「来たな!堀さん!?」思わず叫びそうになった。
この日の演奏会はもちろん素晴らしく目頭が熱くなった。演奏家は「ベートーヴェンとマエストロ堀にいじめられた」とか冗談っぽく言っていたが・・・。