ピアノが語ってくれたものシリーズ ピアノの響板特性とハーモニー調律 その14
響板同期と高音セクション
ちなみに、U3タイプの場合78Dくらいから上は、すべてのKey音と響板が同期するようになります。
その結果として、一般的に次高音セクションより高音セクションの方がバラツキなく良く鳴っている感じがする事や、調律時に78Dくらいから上は、少し高めにとったほうがまとまりやすい理由もこのためだそうです。
小型ピアノはダンパーがなくなる辺りまで響く音と響かない音、微妙に下がる音と下がらない音が混在し、音色や音量においてもばらつきも多く、我々調律師は悩まされる傾向にあります。
比較して、大型コンサートグランドピアノの場合は『響板f0』出発点がオクターブくらい低いために、中音から次高音セクションに入るバーの前後までは悩まされる傾向にありますが、次高音セクションに入って割合すぐにすべてのKeyで響板が良く鳴る(同期する)状態にある訳です。
小型ピアノと同じ3本弦の次高音セクションが長い弦で豊かに響く中低音に負ける事なく鳴ってくれるのはより広い大きな響板特性のおかげだそうです。
ピアノ製作においては、響板特性を伝統や経験の中でどこにどのように持って行くかで個性や魅力につながっていくと思います。
これもピアノ作りの難しくも面白い側面なのかもしれません。