ピアノが語ってくれたものシリーズ ピアノの響板特性とハーモニー調律 その8
総合評価
アップライトは想像より健闘していてU3タイプでC3とほぼ同様の『響板f0』を計測出来ました。
響板面積が翼型より長方形がより広く取れる事が理由の一つでしょう。
響板形状については明らかに球面式のほうがシリンダー式より低いデータが出ました。
理由の一つに響板の厚さがあるのでしょう。
また、シリンダー式の場合、駒に並行して助響板(除響板)やカットオフバー等が取り付けてある場合が少なからずあり、一次振動面積をあえて狭くして(『響板f0』を上げて)でも響板角で起こる乱反射振動を減少させ音の透明感を優先したのだと思われます。
『響板f0』が低いことは長所理由の一つには成り得ますが、全体のバランスや影武者の存在、f1~f32までをどこにどの程度出ているかで楽器の個性や魅力にもつながるでしょうし、長短は容易に判断できないと感じました。
そして、その個体に適正の合う楽曲や調性が多少なりともあるのかもとも感じました。
例えばF.ショパンはCis mollを多く作曲していますが、彼が主に使用していた当時のピアノのサイズとピッチによる『響板f0』が、たまたま17C#にあって、その特性からくる他の調とは違う独特なハーモニー感に多くのインスピレーションを受けていたのではないかなどと妄想?できますね。
参考;計測データによる17C#に『響板f0』があったピアノ(影武者も含む)
ベヒシュタイン C-232
スタンウェイ B-211
ベヒシュタイン B-208
グロトリアン 208
ベヒシュタイン M-180
参考; 4度上の22F#に『響板f0』があったピアノ(影武者も含む)
ベーゼンドルファー 225
NYスタンウェイ B-211
プレイエル No.3 203
ベヒシュタイン V-200
イバッハ 180
ベヒシュタイン M-180
ホフマン T177
ペトロフ P-Ⅳ 173
参考; 5度上の24G#に『響板f0』があったピアノ(影武者も含む)
ベヒシュタイン M-180
ベヒシュタイン L-165
プレイエル F-164
ホフマン T161
ベヒシュタインA160
スタンウェイ K-132
ヤマハ U3
テーマは少しそれますが、計測する中で、球面式は全体にパワーがある事、シリンダー式は透明感と立ち上がりの速さがそれぞれの魅力だとも感じました。
ピアノのサイズ変更や、響板にかかわるような構造的モデルチェンジを行なってこなかった一部メーカーもありますが、度々行なってきたメーカーをより詳しく調べていけば色々と当時の事情が推考できるかもですね。
是非、興味がある方は調べてみてください。