20世紀初頭のベヒシュタイン&スタインウェイ その6 チューニングピン周辺
ベヒシュタインV-200 クラシック 1901年
総アグラフは音の透明感と立ち上がりに大きくかかわると思われ、とことん響板の音を重要視している感じがする。
くりぬきフレームからのぞくピン板はカエデの化粧板で綺麗である。
チュ―二ングピンからアグラフまではフェルトでミュートされ共鳴を防いでいる。
ピン表面はッキではない。
細めの直径6.9mmである。
弦の巻き口からピン板までに何もないので長さは約59mmで通常のピンより短いが、ピン板に埋まっている部分の長さは同じ。
スタインウェイA-188 クラロウォルナット6本脚 1902年
今やほとんどのピアノが採用しているカポダストロバーは当時スタインウェイの特許であり、フレームと一体化させることでフレームの共鳴と共にパワー増加を考えている
カポと共にフレーム一体型のブリッジはデュプレックスシステムの一つで共鳴する。1音ごとに微妙に長さを変えていて、ブリッジからピンまではフェルトミュートしてある。
メッキピンで直径7.0mm長さ約64mm
フレームの穴から見えるピン板にピンが打ち込まれフレームの厚さ分ピンが長いわけだ。
弦の巻き口からピン板まで長くなるので力学的には不利のようだが強度耐久力には問題なく金属をより響かせたいスタインウェイはピンのしなりによる効果でよりダイナミックな音作りも考慮しているようだ。