・ベヒシュタインとプレイエルの響き
同じ曲をプレイエルとベヒシュタインで弾き比べてみると、共通点と違いが非常によく分かります。どちらも分離感の良さからポリフォニーの処理能力に優れ、フレーズの一つ一つ、音の一つ一つのデリケートなニュアンスの違いが他の音に干渉されることなく聞こえ、それが立体感のある響きとして耳に残ります。
プレイエルの明るい音色は非常に憂鬱なショパンのメロディを弾いても、どこか弾き手の心を落ち着けてくれる暖炉のような温もりを感じます。ベヒシュタインの厳格な音は中立的で固有のキャラクターがない分、演奏者の意図がそのまま音となって体現され、弾き手の心の複雑な動きがそのまま音になって表れてくるイメージです。
パッサージュには近日中にプレイエルのアップライトがやってきます。今では貴重になったプレイエルと、その音色の方向性を受け継ぐベヒシュタインを是非弾き比べてみてください。