vol.2 1880年製のベヒシュタインでショパン:幻想曲Op.49を弾いてみました。2024年8月20日(火)ピアノパッサージュにて

平行弦と交差弦

近年、ピリオド楽器に脚光が当たってきているようです。
グランドピアノは19世紀末から20世紀初頭に交差弦に移行してきました。
ところが、近年、ベルギーやフランスで平行弦のピアノが製作され始めています。
なぜ平行弦が見直されつつあるのでしょうか?
そこで交差源と平行弦のそれぞれの長所を考えました。

交差弦の長所
小型のピアノでも中低音部の弦長をより長く設計できる
低音駒の位置を響板左端から中央に移行することでより豊かな響きを得る
中音弦の上に低音弦が重なるように隣接することで豊かな共鳴を得る
時代はピアノコンチェルトが脚光を浴びていました。
オーケストラの楽器、コントラバスにもないピアノの最低音をより豊かに会場に響かせるには交差弦が有利
中音部の弦の上に大きく交差して広がる低音部巻線は視覚的にも圧巻(好みの問題?)

平行弦の長所
低音弦も中高音部と弦の高さが一定であるため、低音部のハンマーの長さも一定でアクション部の矛盾が少ない
ハンマーに角度調整による負担や寸法調整が少ない
音の透明感が非常に高く、低音部の駒の位置も大きく変化しないので中音部と低音部の音量音色のセクション変化が少ない
それぞれの弦の独立性が高いためにいろいろな楽器の音色が出せる可能性がある
視覚的にスッキリしている(好みの問題?)

シンプルに考えると音の透明感やメカニック的には平行弦のほうが有利で響きの膨らみや音量的には交差弦が有利と考えられます。
小型サイズのグランドピアノやアップライトには交差弦の設計が有利でしょう。
交差弦はピアノをコンパクトにするための知恵とも考えられます。
しかし、コンサートモデルのサイズになれば弦長も長く設計出来ます。
平行弦でピアノ曲を弾くことは温故知新、魅力の再発見やヒントにつながるかもしれません。
モーツァルトやベートーベン、ショパンも平行弦で作曲したのですから・・・。

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