Q1.先日、白鍵の長さは標準で150mmと伺いましたが、これは外に出ている(奏者から見える)部分の長さかと思います。おそらく、鍵の支点はピアノの内部に隠れているものと思いますが、白鍵の先から支点までの長さも、標準の長さがありましたら教えていただけますでしょうか?
A1.標準の長さは特にありません。白鍵は割合のみでなくアクションやハンマーのトータルのテコ比率で考えられていますのでいろいろあります。ピアノの大きさからくる打弦点の位置 、アクションサイズに合わせ設計者の経験とメーカーの伝統に合わせて設計されます。
Q2.隠れている部分も含めますと、白鍵全体の長さは、先から支点までの2倍となりますでしょうか。
A2.2倍となりません。いろいろあります。
たしかに大型132㎝くらいのアップライトの場合は力点・支点・作用点の割合が 1:1に近いものがあります。しかし、最近の小型のアップライトやグランドはこの限りではありません。
Q3.白鍵の沈み込み(白鍵を全く押していない状態から、底まで押した状態になるまでに垂直方向に動く距離)にも、標準の長さがございましたら、教えていただけますでしょうか?
A3.標準としてではありませんが、だいたい約1cmです。 メーカー・機種によって参考基準寸法があり9.75mm~10.5mmくらいの間で一応決められています。古い楽器は11mmくらいのもありました。
フォルテピアノは7mmくらいです。
これは、あくまでも基準寸法であり、現場では楽器の状態や演奏者の好みも含めて微調整します。現場での正解は一つではありません。
Q4.白鍵を底まで押すのに最低限必要な力は、標準でどのぐらいになりますでしょうか?(何gのおもりを白鍵に載せたら、底まで下りますでしょうか)
A4.楽器により、まちまちです。白鍵の底までとなるとダンパーの重量又はバネの抵抗それからジャックその他の摩擦抵抗が大きくかかわるので特に基準はないようです。経験上グランドで130~200gくらいの加重で底まで下ります。
鍵盤調整の実際は白鍵の底までの力ではなく初動からジャックが掛かりだす約0~7mmくらいまでのところの動きで重さを調整します。ダンパーの影響を受けないようにペダルを踏んで、もしくはグランドの場合はアクションを出して行います。
初動重量は一般的には低音から高音にかけて55~50gくらいです。もっと軽いものも重く調整されているものもあります。時代によって75gを超える重い楽器もありました。
また、その逆方向、何gの加重で元に戻るか、戻り加重も確認します。これが20g以下だと連打が難しい楽器になります。
Q5.メーカーによっても異なるでしょうか。(例えば、ベーゼンドルファーはスタインウェイより重い感じがしますが、これは気のせいでしょうか・・・)
A5.はい。メーカーによって微妙に異なります。
機種時代によってもかなり開きがあります。
また、ベーゼンドルファーとスタインウェイのタッチ感の違いは多くの方が感じていることも事実ですが、初動加重を量ってみるとベーゼンドルファーが軽い場合もあり、一概には言えません。
重い軽いの感覚は初動重量のみではなく戻り加重や発音の特性、音色、調律の状態、整調の状態、部屋の響きや広さ、整音の状態、そして、設計上のテコの比率や各部摩擦とレール類の強度と形状に影響を受け微量の違いが、感覚的には大きく変わって感じることも多いです。
ベーゼンドルファーとスタインウェイの場合は戻り加重や発音の特徴、設計上のテコの比率、レール類の強度と形状の違いが影響していると思います。
Q6.もし可能でしたら、同様のことを黒鍵についても教えていただけますと助かります。
A6.黒鍵は力点が変わるので支点も少し奥になっていますが上記ご質問の回答としては白鍵と同様です。
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