コンサートチューニングいろいろ
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最終更新日:2015/12/13
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コンサートチューニングいろいろ
一般的にコンサートピアノはそれぞれのメーカーのコンセプトが設計に最も反映できるものだろう。
メンズレーション(弦設計)に物理的制限が少ないのもその理由の一つだ。
さて、ここのところ年末に向けてコンサートや発表会の調律が多い。
一般的に多くのホールでお目にかかるハンブルグスタインウェイD274
この楽器の特徴はフレームを梵鐘のように鳴らし、次高音部をいかに歌わせるかにポイントを絞ってデフォルメすることを前提に設計されていると思われる。
そのシステムのベクトルの素晴らしさを述べるときりがないのでやらないことにするが、リムの構造や、サウンドベルシステム。響板の形状と長短駒の一体化などなど多くがそのポイントに向かって見事に設計されているようだ。
テンションは非常に低い設計だが、次高音部分のテンションはさらに低く設計されている。
これは、音量増大を図っていたピアノ制作発達過程の設計思想からはまさしく逆転の発想で当時多くの制作者を驚かせたことだろう。
低いテンションは結果として打鍵の強弱によって音程の微妙な変化を期待できる。
また、同時に低いテンションにおける部分音構成は後期ロマン派が特に重要視する第10部分音や第14部分音あたりが強調され次高音部の周波数帯に集約されているような気がする。この基本設計から来る音程の微妙な変化が楽器表現力となり、次高音へ集約され強調された音量と響きがスタインウェイの魅力となっているのは間違いない。
開発期には駒の削り方をユニゾンの3弦が同じ長さにならないようにあえて直線に落してみたり、デュプレックスも現在の一体型の前に独立可変式や直線形のものや全く無いものなどかなり試行錯誤されたようだ。
スタインウェイを調律する時の留意点は打鍵の強弱やミュート状態の1本弦の状態と解放3本弦の状態によって音程の変化が比較的大きいから、打鍵は均一にすることやロングミュート状態の基礎オクターヴを信用しないことが重要になるだろう。つまりユニゾン終了後の修正が必要となる。最初からロングミュートを使用しないという選択もあるだろうが、ベーゼンドルファーのようにメンズレーションやテンションが安定していないので多少のコツがいるだろう。
ホールでは日本でここしかないのだ。
グロトリアンのシンギングトーンを多くの方々に体験してほしいとのことで、ホールではピアノを弾く会を企画しているそうだ。
シューマンやブラームスをぜひ弾いてみてください。
ここは四谷区のホール
ベーゼンドルファーの275コンサート用モデル。
自然体の響きにはいつも感動を覚えますねぇ。
コンサートグランドピアノを調律する時の留意点は2オクターヴ3度の唸りをなるべく変化を少なくすること、つまり、低音に進んではなるべく減らないようにすること高音部に進んではなるべく増えないようにすることに尽きるような気がする。もちろんバラツキは問題外だ。また、2オクターヴ長3度の響きは陽の響き、天使の歌声でなければいけない。2オクターヴ短7度の響きは陰の響きデモーニッシュでなければいけない。一般的なベビーグランドではこの響きが出るようにするためのオクターヴはかなりぴったりに近い。しかし理論とは逆説的に感じるかもしれないが、コンサートピアノでは非常にわずかだが自然にストレッチする必要がある。このストレッチが拡大解釈され実践された事がハーモニー感の少ない日本独特のピアノ調律を生んだのではないかとも思われる。
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