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スタインウェイシステムのなぞ。なぜスタインウェイ?

公開日: : 最終更新日:2017/02/25 Pick up, おすすめ記事, スタインウェイ, スタインウェイピアノ

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ハンブルグ・スタインウェイというピアノ。

多くの演奏家が使用し、9割以上のホールに常備されるコンサート用ピアノの代名詞。

なぜ?スタインウェイなのか?

演奏家はなぜ?スタインウェイを好むのか?

スタインウェイが求める音作りや独自性。

多くの後発メーカーや老舗メーカーまでもがその魅力を取り込もうとするが、うまくいかない。
理由のひとつはトータルバランスとスタインウェイシステムが存在するからであろう。

私が長年コンサート調律でスタインウェイピアノをメンテナンスしてきた経験を元にスタインウェイシステムのなぞを少しでも解き明かすべく、気長に徒然なるままにその秘密に迫っていこうと思う。

音の入り口・奏者のインターフェイス・鍵盤

ピアノの鍵盤を1から作ったことがありますか?製図したことがありますか?

実は鍵盤は個性的なのですよ。鍵盤を良く見てください。

1オクターブに白鍵は7つ。黒鍵は5つ。もっとよく見てください。

ド・レ・ミの白鍵3つの間に黒鍵2つ。つまりここはドレミの3つを5分割してる。

ファ・ソ・ラ・シの白鍵4つの中に黒鍵は3つ。ここは、ファソラシの4つを7分割。

通常白鍵1本の前面の横幅は23mmくらい。

23×3÷5=13.8mm。
これが均等割りした場合の、ドレミにある2つの黒鍵または黒鍵の間に挟まれた部分の白鍵の幅。

23×4÷7=13.142857…mm
これがファソラシにある3つの黒鍵または黒鍵の間に挟まれた部分の白鍵の幅

つまり、ピアノの鍵盤はちょっとした矛盾を持っているのです。
この計算値はあくまでも均等割りの場合です。量産型のピアノ鍵盤は均等割りが多いですね。また、黒鍵は黒鍵部分を別に作り、後で貼り付けますから黒鍵上面(指の当たるところ)の幅は均等です。

スタインウェイはどうでしょう?機会があったらよぉっく見てください。

さて?これは何でしょう?
正解はスタインウェイ・グランドピアノのアクションレールです。

ちょっとわかり難いかもしれませんが、赤いラシャの部分の穴にネジが入りハンマーのフレンジをとめます。

他社のレールに比べるとものすごく細いんです。別名チューブレールとも呼ばれるこの部分は真鍮管の中にブッビンガーなどの堅木を入れて四角くプレスしたもの。

この天才的発想がスタインウェイタッチの魅力の一つなのです。

アクションレールにハンマーが付いたところ。

コアにはブッビンガー等の堅い木材が使用される。

木材のまわりは真鍮のチューブで覆われ、四角くプレスされる。

他社メーカーと違いこの細さ、このしなりが、スタインウェイのタッチのタメやフォルテシモでの音の奥行きを大きくするのだろう。

このしなりと強度のバランスが究極なのかも。

スタインウェイアクションハンマーの写真だ。

ハンマーシャンク(細い木)の下に白いクッションフェルトがそれぞれ一個ずつ見える。

このウィッペン独立クッションタイプはヤマハも40年位前から採用している。

長所はハンマー落下時の雑音が少ないことだ。

ハンマーとシャンクはニカワで接着されている。昔からあるアナログ的な?接着剤だが、世界の超一流ピアノのコンサートモデルはすべてニカワを使用しているようだ。

人の心に訴えてくる音のピアノは自然のもので作られていると思う今日この頃。

確かに、鉄も木もフェルトも自然界のものだ。

写真の鍵盤の手前にある真鍮のピンをベッティングスクリュー(ボタン)と呼ぶ。

b17f7084.jpgKEYのシーソー運動の支点の下にあるレールをバランスレールと呼ぶが、その下に出っ張っている部分だ。

今ではほとんどのグランドピアノに装備しているシステム。これもスタインウェイがさきがけだ。

スタインウェイの場合非常に微妙な調整が可能で、音やタッチ感に大きく影響する。

長所としてはキーベッドや鍵盤側の変化に木を削って対応していたことをボタン調整でできることだろう。副産物として鍵盤のエネルギーロスが減り、パワーが生まれた。

鍵盤のオサ(鍵盤が乗っかる枠組み)は点でささえられている。

鍵盤前面の下の写真だ。

緑のパンチングクロス下の木が手前に向かって下がっている。つまり奥を削ってあるのがわかるだろうか?

オサは前面と中央はその6で書いたベッティングスクリューとで、点(線)でささえられる。面ではないのだ。

鍵盤はクリーゲ社を採用しているようだ。

スタインウェイシステムのなぞ。なぜ?スタインウェイ?その8

写真は鍵盤とアクションが乗っかるキーベッドだ。

ここにもスタインウェイならではの工夫があるのだ。

eb236d4f.jpg左右の両端に堅いブナ材を縦に使用し、鍵盤が乗っかる部分は音の良いとされる針葉樹を横に使用している。

この部分5本の柱を横にホゾを作りかませてあるのだ。接着していない。

この辺を見ると、スタインウェイがいかに音響物理学を研究していたかがわかる。

セオドア・スタインウェイ氏とドイツ物理学者ヘルムホルツ氏の文通は有名な話だが、音は質量の多い所から軽いところへは伝わるが、その逆は伝わりにくいというエネルギーの法則を熟知して材料選びをしていたことが伺える。

0939b1a9.jpgサウンドベルとは?

サウンドベルとは高音側の側板に取り付けられた金属の塊で、スタインウェイの188cm以上のグランドピアノに取り付けられています。

長いネジでベルと鉄骨がつながっています。

スタインウェイは何の効果を求めたのでしょうか?

理屈で考えれば側板のフォルマントをあげて、共振周波数を変更すること。

次高音ヒッチピン側の鉄骨部分の総質量を上げて弦振動ロスを少なくすることなどが考えられますが、先日の研究会で面白いことを体験しました。

ネジを適度なトルクで締め付けると、音が立ってきました。次高音部の響きも増してきました。

タッチも奥行きが増した感じがして到達タッチがすっきりしてきました。

明らかにクリアーな方向に変わりました。

これはすごい変化です。

音がタッチにここまで影響することは新鮮な体験でした。

47556101.jpgなぜ スタインウェイ?放射型支柱

スタインウェイのグランドピアノの支柱は放射型である。

強度だけを考えれば、格子型のほうが縦横斜めの力に強いはずだが・・・。

放射型は縦方向の力には強いが、横方向のねじれ等には弱いはずだ。

幸いなことに弦のテンションは縦方向に強くストレスがかかり、張り方も交差弦の発明以降(これもスタインウェイの特許)低音弦は中高音弦とクロスしている。

楽器は響くことが重要である。極限までスリムアップされしかも耐久力も必要だ。

スタインウェイのグランド放射型支柱は理想的な構造なのかもしれない。

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